闘う漢の遊び車
ある日突然転勤を命じられた三十路漢(おとこ)。 新しい職場は高速をブッ飛ばして片道一時間。 漢はこれを機会に車の買い替えに動き出す。 独身にしか許されないナメた車を選ぶために…。
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ある三十路漢の一日

あるところに一人の三十路漢(おとこ)がいた。彼は労働基準法などまったく介在しない世界で日々激務に追われていた。しかし血を吐くような生活を送りながらも、生活はそれなりに充実していた。仕事にやりがいはあるし、労力に見合うかどうかはともかく、それなりの収入もある。たまの余暇には最近始めたアイリッシュフィドルを掻き鳴らしては、周囲に迷惑をかけつつストレス発散もしていたのだ。そんな生活にある日激震が走る。当時、研究生活がメインであった私は、我が部署のトップに成果を報告していた。報告が終わるや否や、上司は言い放つ。


せば君、4月から○○に行ってくれないか。


な…なんですと!? 突然の転勤命令である。基本的にはサラリーマンな私は、上司の命令を拒否できる立場にはない。時は平成18年1月、動乱の幕は切って落とされようとしていた。


道は遠く…遥か遠く

私は兵庫県の西宮市在住である。大阪と神戸のちょうど中間に位置する人口47万の都市。ウルトラスーパー判りやすく言うと「甲子園球場がある街」だ。関東の方々、甲子園球場は大阪にあるのではないのデスよ。ディズニーランドみたいなもんですな。そして命じられた転勤先は同じ兵庫県の篠山市。地図上では隣の丹波市に丸がついているが、他のブログからの使いまわしなので御了承頂きたい。どのみち「丹波篠山」と括られることが多いので、まぁよしとしよう、うん。


tamba


色々と諸要素を検討した結果、引越しはせずに通勤する方がベターであることが判明した。移動距離は片道60km。道程のほとんどは中国自動車道と舞鶴若狭自動車道のため、時間にするとブッ飛ばして一時間弱だ。うん…充分通える時間ではあるね。しかし一日120kmってことは、年間走行距離は3万kmを突破する計算になる。しかも朝の眠さ、夜の疲れを伴っての運転だ。う〜ん…。


始まりの風

現在の我が愛車はSUBARU・フォレスター。日本の現在のSUVの概念を作り上げたと言っていい名車だと個人的には思っている。基本的にはRVなので、人もモノも沢山積めて、利便性はこの上ない。通勤を含めた日常の足は勿論、スキーに行ったり、釣りに行ったり、キャンプに行ったり。この7年間は何処に行くにもコイツと一緒であった。おまけにこの車は上ヅラこそRVだが、ベースになっているのはラリーなどでも活躍しているインプレッサである。走りだって元気が良い。


Foresterstart.jpg


特に私のフォレスターは初代型のS/tB。この頃のフォレスターは250馬力、トルク31.2kg・mを誇り、車重は1380kg。体感加速はランエボ5乗りの友人をも驚かせた程だ。もちろんサーキットだって走っちゃいます。もっともピット裏へ行こうとしたら、「こちらは競技車両だけです」と注意されたけど。 これ競技車両なのよね。(スレッガー中尉風) まぁフツーはそう思わないよね。車高は200mmもあるし、フルノーマル仕様でナビまでついてるし。



Foresterrun.jpg


もの凄いロール角でタイトコーナーを攻める我がフォレスター。おまけに初代型は加重移動でとんでもなく前のめりになるので、こんな写真になってしまうのよね。でもそんなノーマルで攻めるのもだろう。後から聞くと走行中はギャラリーが沸いていたらしい。まぁ確かに滅多に見れない光景っぽいですナ。


しかし我がフォレスターも既に9年落ち、走行86000kmを数えるベテラン選手になってきた。こんな乗り方をしているせいか、機関はまだまだ元気だが、ボディにはヤレも感じる。夏には車検だし。果たして年間30000km、一日2時間の運転に耐えられるだろうか。


転勤を機会に乗換えを考えるか…そういう流れになるのは当然の帰結とも言える。 として。


条件を絞り込め!

さて車を乗り換えるとすれば私にはどんな車が適しているのだろうか。一口に車と言っても、現在日本で買える車は星の数ほどあるのだ。まずは条件を箇条書きにしてみよう。


必要条件
1.高速が快適に走れる車
2.壊れない、信頼性が高い車
3.走ることそのものが楽しい車


付加条件
1.スポーティな車
2.あまり誰も乗っていない車
3.現実を見るな。フォースを感じろ!
4.キャッシュで買える車


必要条件は通勤で使うこと、一日2時間120kmを走破することを考えれば当然の条件だろう。 この時点で、まずはラテン車と軽自動車は除外することにする。今日びの軽自動車はよく走るし、高速走行も楽々こなすのは知っているが、余裕のあるクルージングというものがしたい。今時のラテン車も昔ほど壊れまくったりはしないのかも知れないが、周りのラテン車乗りを見ていると、やはりトラブルが多いのは事実な気がする。「主要部品は壊れない」なんてものはディーラーの言い訳に過ぎない。高速中心の使用である以上、窓ガラス一枚閉まらなくなるだけで、通勤は苦痛になるのだ。よって今回は却下とする。

さて、これでもまだまだ車種はある。さらに絞り込んで行こう。まずは前回記事にもあったように、私はサーキット走行もするくらいだから、スポーツカーが好きである。実際以前にはRX-7(FC3S)も乗っていた。しかしこの歳になると、ガチガチのスポーツカーまでは要らない。高速路面の継ぎ目で空を飛ぶような車はもう乗れん。あくまで「スポーティ」程度の車でいい。そして、どうせ乗るなら誰も乗っていないような車がいい。幸い未だ独身、もちろん子供も無し。人も荷物も積む必要はない。フォレスター乗ってて言うなと言われそうだが、一億総ミニバンみたいな今の世の中にはウンザリだ。実際SUVなんざ乗っていても、沢山の人間と荷物を積む機会など、そうそうありはしない。人も荷物も積めない反社会的な車でもいい。欲しいと思った車を買えばよい。しかし最後の条件として、一括キャッシュで無理せず買える車ということを付加する。個人的な考えだが、ローンは借金と同じだ。ましてや道楽性の高い車を買うのに、借金までするのは私の矜持が許さない。少なくとものすることではない。予算的に厳しいならば、その車はまだ自分には分不相応なのだろう。


さて、これで大分条件は絞れたハズだ。ワクワクしながら車選びを始めるせばすちゃんであった。


これしかないでしょ

そうして候補を絞っていくうちに、脳裏に浮かぶある車が浮かび上がる。先にあげた条件を満たし、漢として一度は所有しなければならない車。それはそう、オープンカーである。

Foto40_Mercedes_Benz_CLK_Cabriolet.jpg(イメージ映像です)

うん、実に素晴らしいアイデアだ。日本でオープンカーに乗ってる人間は多くはない。ユーノス・ロードスターという傑作車があるものの、全体に占めるオープンカーの割合など微々たるものだろう。なんたって、せっかく風光明媚な土地へ行くのだ。これほど適した車はあるまい。屋根を開けて自然を肌で感じ、風と戯れようではないか。ましてやオープンスポーツなどとなると、人は積めない、荷物は積めない、おまけに屋根までないという世の中のニーズに逆らいまくりのまさに漢の車だ。 かつての愛車はMAZDAとSUBARU、PCはMac、ビデオはベータ、mp3プレイヤーはiriverとアンチメジャーの裏街道をひた走ってきた私には、これこそ相応しい車ではないか! 結婚して子供もいる状態で、こんな車を欲しいなどと言ったら、奥様にケンカキックから始まるコンボ技で瞬殺されるのは疑いないところだが、私にはその心配は現在のところ無い。それが幸か不幸かはともかく、とりあえず無い。しかし、流石の私でもそうそういつまでも独身貴族を気取っているわけにもいかないだろう。そもそも世の中の女子達が許さない。(注:筆者には虚言壁があります) タイミング的にも、まさに今しか買う時がないとも言えるのだ。


よし、オープンスポーツを買おう!


せばすちゃんは決意を固くする。 春の陽が燦々と降り注ぐ青空駐車場を背にして…。


硬い屋根のオープンカー

さてさて、オープンスポーツを買おうと決定はしたものの、大きな問題がある。それは私が契約しているのは青空駐車場だと言うことだ。オープンカーって野ざらしにしておいても大丈夫なのかね? やはり対候性やセキュリティを考えるとハードトップなオープンカーがいいかな。しかも漢としては、やはり電動ハードトップが欲しいところだ。さっそくリストアップしてみる。


DAIHATSU COPEN


copen.jpg
ずんぐりむっくりしているがキュートなデザイン。三十路漢がキュートとか言うなという説はともかく、なかなか良いデザインだと思う。しかし、こんな小さな車体で電動ハードトップ搭載とは…。身近に乗っている人間がいるのだが、MTで乗るとすごく楽しいらしい。軽自動車なので今回選ぶには厳しいか。また積載能力はゼロに等しいのも難点。ちょっとくらいは荷物も積めて欲しいな、個人的には。


HONDA CR-X Del Sol
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知る人ぞ知る、ホンダの名車。日本初の電動ハードトップじゃないかしら? もちろん中古でしかもう買えないし、いい加減古い車だしなぁ…。エンジンはホンダ自慢のVTECを搭載。でも走りがいいという噂は聞きませんな。今回のスポーティーなオープンというコンセプトにはいいかも?


Silvia Varietta
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これも中古でしか買えないが、S14シルビアをベースに屋根をブッタ切り、電動ハードトップにしちゃった漢車。なかなかスマートな車だが、ベース車がなぁ…。お手本的なFRで走り屋さんに大人気を博したシルビアだが、なんかこう突出したモノが欲しいところ。内装がやたらチープなのも気になる。もうちょっと大人な雰囲気が欲しいかな。


Peugeot 206cc
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フランスからはプジョーが参戦。306ccというのもある。しかし何と言ってもラテン車だ。ラテン民族が電動ハードトップなんて機構を作って大丈夫なのかという不安がある。弟が206の屋根付きに乗っているのだが、「プジョーはやめとけ」とのこと。そもそもスポーティでもなんでもないよなぁ。使い勝手は良さそうだけど。


LEXUS SC
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ダサイ。成金感溢れすぎ。トヨタ。ファンやオーナーの方には申し訳ないが、個人的にはまったく魅力を感じない。走りがいいとも思えないしなぁ…う〜ん。そのくせレクサスだけあって、やたら高いし。


Mercedes Benz SLK
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先代SLK。このアングルで見るとなかなかカッコいいが、実物は意外にモッサリしたデザイン。内装デザインも古さを感じる。何よりベンツだ。個人的にはベンツ、ビーエムというだけで評価大幅マイナスだ。値段ほどの車と思えた試しがないし、業界人は猫も杓子も乗っているから。


Mercedes Benz New SLK
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そんなベンツ嫌いな私をハッとさせたのが、この車。現行SLKだ。マクラーレンSLRに似せた非常にあざといデザインで、その根性は気に喰わないが、やはりカッコいい。これだけスタイリッシュで電動ハードトップなんて複雑な機構を積んでいるのに、意外にトランクも広い。しかしお値段も流石のプライス。


う〜ん、こうやってみると、丁度いい落としどころの車がない気がする。まぁ、そもそも世界中でも電動ハードトップなんてマニアックな機構積んでる車が希少なんだけど。実際に今回の買い替えで視野に入ってくるとすればNew SLKだけかなぁ。でもこの車700万だし。二人しか乗れない車に700万…酔狂もここに極まれりって感じですナ。